Part2 幻想を手放す
第8章 人生には「今」しか存在しない
- 時間をコントロールしようという態度が、もうひとつ別の弊害を生み出す ⇒ 「時間をうまく使おう」という強迫観念
- 時間の「道具化」とも呼べる問題
- 時間を手段と捉えているため、人生の本当の価値は、どこか遠い未来に置かれてしまう。
- 自分が今やっていることー今まさに生きている人生ーを、何かの準備に使わなければ気がすまない
- 「いつか何かをしたら」というマインドは、まだ大事なことが達成されていないせいで、現在の自分が満たされないのだと考える。問題が解決しさえすれば、人生は思い通りに動きだし、時間に追われることなくゆっくり生きられる
因果のカタストロフィー
子どもの目的は成長することだと思われている。だが、子どもの目的とは本来、まさに子どもでいることなのだ。自然は1日しか生きられないものを蔑ろにはしない。一瞬一瞬に、自然はそのすべてを注ぎ込む。……人生の報酬は、その流れの只中にこそ存在する。後になってからではもう遅い
あらゆる瞬間は最後の瞬間だ
- 人生は有限であり、必然的に二度とない体験に満ちている。そしてわたし達はたいてい「これが最後」と気づかないまま、その時を過ごしてしまう。だからどんな経験も、それが最後の機会であるかのように大切にするべきだ。と作家のサム・ハリスは言う。
- 資本主義という何もかもを単なる道具とみなす経済システムの中で生きているため、時間を未来のための道具としてしまうのも当然だ
人生の本当の意味は未来のどこかにあると信じていれば、いつの日かすべての努力が報われて、何も思い悩むことのない幸福な黄金時代が訪れると信じていれば、人生のゴールがどこにもないという気まずい現実に直面しなくてすむ。
人生の「本当の意味」が未来にあると信じることで、今この時を生きることから逃げているわけだ。
楽しみにしていたことが楽しくない理由
- 今を生きるのは、そう簡単なことではない。
- 目の前の小さな喜びを味わうことが幸福度アップにつながる
今この瞬間にいようとする努力は、時間を未来のための道具にする態度とは真逆に見える。でも実をいうと両者はほとんど変わらない。
結局どちらも「時間を最大限活用しよう」という考え方のバリエーションにすぎない。今を生きるための最善のアプローチは今に集中しようと努力することではない。むしろ「自分は今ここにいる」という事実に気づくことだ。
- 今ここにいるというわざわざ考える必要はない。
今を生きるとは、今ここから逃れられないという事実を、ただ、静かに受け入れることなのかもしれない。