Part2 幻想を手放す
第10章 忙しさへの依存を手放す
「現実を思い通りに動かしてやりたい」という傲慢な態度こそが、苦しみを引き起こす。中国では古くから、この洞察が道教思想の中心にあった。
焦って行動すると、数倍の時間がかかる
- あわてて作業してミスが増え、修正する
- 運転をあわててすると事故がおき、もっと多くの時間がとられる
なぜ現代人は本が読めないのか
- 科学的に証明するのはむずかしいが、わたし達は昔よりずっと短期になっている
- 待つことへの耐性が低下している
なぜどんどん短期になってしまうのか
- 技術が進歩するたびに、人間の限界を超える地点に近づいている気がする。
- たとえば、電子レンジが1分で温められるようになると、次は1秒で温まるべきではないかと思うようになる
現実のスピードをどんどん速めたいという欲望は読書体験にも現れている。
- 本を読もうとすると「没頭できない」「気が散って仕方ない」という、読書という時間のかかる行為に対して、もっと早く終わればいいのにという不満をどこか感じている。
時間をコントロールしたいという傲慢さを読書は許してくれない。無理に急いで読もうとしても、意味がすり抜けていく。
忙しさの依存の悪循環
世界はどんどん加速し、僕たちは超人的なスピードで動くことを期待されている。その速度に追いつけなければ、幸せもお金もけっして手に入らない気がする。自分が置いていかれないかと怖くなり、安心感がもっと欲しくてもっと速く動こうとする。
忙しさ依存はまず誰も助けれくれない。社会全体が、忙しさ依存を推進している。「ずいぶん精力的に働いているね」と周りから言われるだけだ。
あきらめて、現実を受け入れる必要がある。
ものごとには必要なだけの時間がかかるものだし、どんなに急いでも不安が減るわけではない。世界のスピードを思い通りに動かすことなど不可能だ。急げば急ぐほど、もっと急がなければという不安が増すだけだ。
時間をコントロールできるという幻想を捨て、ありのままの現実をみつめ、ほっと息をつき、何よりも重要な能力「忍耐」を獲得しはじめる。