第6章 RevOpsの実践
01 戦略実現のためのテクノロジースタックデザイン
RevOpsのマチュリティレベル(成熟度)
実践する際には、どこから着手するのが適切でしょうか。現状の組織の取り組み内容によって、実行すべきことが異なります。
- RevOpsのマチュリティレベル(成熟度)はレベル1~5に分けられる
レベル1:初期段階
マーケティング、営業、カスタマーサクセスをサポートするオペレーション機能や役割がまた定義されていない段階です。当然組織図にXOpsはなく、組織的に定義されたプロセスがないか、仮にあったとしてもモニタリングし最適化するための手段は組織的には持たず、属人的なセンスによって改善活動がなされている状態となっています。RevOpsに該当する業務を行っている社員はいても、他の業務と混在しており、主業務として実施されているわけではありません。
レベル2:機能段階
マーケティング、営業、カスタマーサクセスをサポートするオペレーション、またはイネーブルメント機能が組織として存在する段階です。ただしRevOpsではなく、MOps,SalesOps.csOpsなどレベニュー組織の特定の部門内に存在しており、その部門の効率化や実行支援に重点がおかれています。
レベル3:協調段階
マーケティング、営業、カスタマーサクセスの各オペレーションを1つの部門にまとめ、サイロ化を排除し、レベニュー成長に焦点をあてて連携する段階です。データの断絶や仕組みの重複はなくなり、透明性が高く同じデータを見てコミュニケーションがなされています。
レベル4・戦略段階
GTM戦略支援、プロセスと組織デザイン、プレイブック策定が実施されていて、それを実現するためのテクノロジーの実装ができている段階です。その結果、マーケティング、営業、カスタマーサクセスの生産性は向上し、レベニュー成長に寄与できている状態です。
レベル5:加速段階
レベル5はプロセスの中のボトルネックはなくなることがない(ボトルネックは解消すると移動する)ことを理解しトレードオプを判断できており、競合他社や同じ業界の中でも高い成長率を実現できている段階です。
レベル3までと4以降には大きな隔たりがある、3までは効率化に取り組む問題解決アプローチ。
RevOpsを設立する際、経営陣はレベル4以上を期待しているということです
テクノロジースタックデザイン
GTM戦略を実現するためのオペレーションモデルデザイン(組織、プロセス、データ)があり、それを明文化したプレイブックを策定します。
- RevOpsを支えるテクノロジーをRevTechといい、大きく3つの役割がある
- 新規獲得を支えるグロースアセット
- 意思決定を支えるインサイト
- レベニュー成長やコスト効率の改善を支えるバリュードライバー
テクノロジーベンダーもサイロからプラットフォームへと自社の価値をシフトしています。テクノロジーは有用ですが、本当の価値は点と点を結んだ先にあり、何もかも連携すればよいわけではなく、最も本質的に多く結べる組織が成功するということです。
グロースアセットの重要なポイント
フィールド組織が高い生産性で活動できるように業務に活用するテクノロジーのサイロ化を最小限にCRMシステムを基盤としてデザインすることです。
インサイトの重要なポイント
顧客データとインサイトを一元化すると意思決定の中核となるシステム構築です。
バリュードライバーの重要なポイント
グロースアセットやインサイトにおいてサイロ化が排除できているほど取り組み余地があるという点です。
02 複雑化する購買プロセスを支えるレベニューイネーブルメント
レベニューイネーブルメントとは
セールスイネーブルメントは営業組織に焦点をあてた取り組みである一方、レベニューイネーブルメントはレベニュープロセス全体の生産性向上を目的としています。
RevOpsにおけるレベニューイネーブルメント
- レベニュー組織のフィールド部門に過度の負担をかけることなく効果的に支援する必要がある
- 適切な行動、顧客とのコミュニケーションに費やす時間を最大化しレベニュー組織への投資対効果を向上
データドリブンなガイダンスやコーチング
- サイロ化されたデータの価値は限定的
- データドリブンでリアルタイムなフィールド支援のために有効なデータソースは以下の4tu
- メールやカレンダーのデータ
- コンテンツデータ
- ファーストパーティデータ
- 録音・録画された会話データ
- フィールド部門で苦戦する5つのポイント
- 自社製品、その価値の理解
- CRMへの活動情報の入力
- 競合や市場リサーチ
- 提案書などの準備
- リードや商談の優先順位づけ
レベニューイネーブルメントの鍵
フィールド組織の生産性向上のために業務ワークフローがシンプルに結合されていることは不可欠です。
03 経営判断の速度と精度を向上させるフォーキャストの実践
フォーキャストマネジメントのステップ
- ステップ1:フォーキャストする対象
- レベニューフォーキャスト:その期間内に計上される売上の予測
- ブッキングフォーキャスト:その期間内に契約締結される受注金額の予測
- ステップ2:フォーキャスト確認の頻度とカテゴリー
- ステップ3:フォーキャスト手法
フォーキャストケイデンスとは
フォーキャストケイデンスとは、精度高いフォーキャストを実施できるようにするためのブロセスやスケジュールのことを指します。このケイデンスの設定は、ビジネス戦略や営業活動の効果を評価し、目標達成に向けた進捗を管理するために非常に重要です。
04 RevOpsの取り組み方
ゴールはレベニュー貢献
どのような場合にでも重要なのは、レベニュー貢献がゴールだということからブレないこと、組織もテクノロジーも相互接続を前提に考えること、シンプルだがスケールできることがベストであるということです。
初期ステップとしての取り組み
05 企業の組織規模や事業フェーズによる取り組み方
企業規模ごとの違い
- 大企業と中長企業分けてRevOpsの取り組みについて紹介
大企業におけるRevOpsの取り組み方
- 規模が大きく縦割りで機能がサイロ化している、過度に複雑なテクノロジーポートフォリオ、などの場合の取り組みテーマはシンプル化
- 最も収益性の高いセグメントやアカウントに対して優先的にリソースを再設計する
- 新規事業の成長に課題がある場合、取り組みのテーマは組織的なABMのアプローチとレベニューイネーブルメント
- サブスクリプション型ビジネスを導入している企業の場合、リテンション率の維持向上が課題、レベニュー組織は新規受注に加えて、継続によるLTVの向上にも意識を向ける
中小企業におけるRevOpsの取り組み方
現時点のビジネスに必要なものは何かを意識しながらRevOpsの業務を進めていくことが重要です。