1章 個々の強みを活かすチームの「フラットな場」
ヒエラルキー型の組織ではもう新しいものが生まれない
高度経済成長時代の日本は、どこかの国の誰かが「正解」となる製品を発明し、それを改善していった。その結果、高品質の製品を大量生産することに成功し、日本は高度経済成長を遂げた。
一方現代は、大抵のモノは人々のもとに行き渡った。製品の改善は引き続き行われるが、それに加えて、「新しい価値」と「なぜそれをやるのか?」という意味(パーパス)が問われる社会になった。
- 便利にするだけでなく、「人々の幸福に貢献しているか?」と問われるようになった。
経済の変化
- 社会の変化から、「求められる理想のチーム」も変わってきた。
組織コミュニケーション
- VUCAと言われる現代社会において、「なんでも知っているリーダー」が一人で正しいプロセスを導けるほど簡単ではなくなった。
正しいプロセス、正しい勝ち筋はみんなでつくっていくのだ。
- そのためにみんなが意見を言い合えるフラットなチームを作る。
リーダーの役割はファシリテーター
- リーダーは「チームの力を最大化する」そのために必要なのは、「環境づくり」と「チームメンバー一人ひとりの才能と情熱を解き放つ」
環境づくり
- GOALは「メンバーにとって安全・安心な環境をつくること」つまり、心理的安全性を確保する。
- そのために必要なことは2つ
1.来たくなる場所にすること
- 自分がメンバーだとして、「来たくなる場所」にする。
- たとえば、会議でいきなり本題に入らず、「チェックイン」で一人ひとりの今の気分を聞いて、表情を確認してみる。
2.言いたいことが言い合えること
- 気楽にいられる、生ぬるい場所ではない
- 相手がリーダーだろうと、先輩だろうと自分の意見をしっかりと主張できること
- 上の立場の人が誰にでもフラットに接することで、言いやすい空気をつくる
- お互いの欠点や弱みを攻撃しあうギスギスした場所ではなく、それぞれのメンバーがお互いにリスペクトしている場所にする。
- 例えば、会議中に出てきた意見に対して、「反対意見はないか」と聞きつつ、会議後の反応にも意識を向ける。
チームメンバー一人ひとりの才能と情熱を解き放つ
- 環境がつくれたら、一人ひとりの才能と情熱を解き放つことを目指す。
チームリーダーの仕事は「一人ひとりに目を向け、一人ひとりの強みを引き出し、活かす」こと
リーダーはn人のチームに対して、1:n(全体)に働きかけながら、同時に1:1(×n人)に、つまり一人ひとりにはたらきかけることが仕事なのだ。
リーダーはチームがゴールに向かうために「出来ることは全部やる」のが仕事だ。しかし、それはリーダーが過保護になんでも解決してあげるということではなく、メンバーが自分で解決するためのガイドをするということ、「メンバーの課題を言語化し、認識してもらう」ことだ。
気が合う、合わないに関わらず、リーダーはメンバーのことをよく知ろう。
有事はfollow me 平時はafter you
- これまで述べてきたことは、平時におけるリーダーのあり方。
会社やチームを揺るがす大事件が起きているときや、抜本的な変革を迫られているとき、つまり「有事」には、リーダーがとるべきスタンスが異なってくる。
有事のときは、短期間で解決しなければならない問題が発生する。そのため「今、必要なゴール」を設定し、力強くチームを引っ張っていくことが必要になる。
そんな有事の際に必要なのは、自分の志に基づいた意思決定だ。