はじめに
本書は2017年に12月に出版した「管理職1年目の教科書」に大きく加筆修正を行なった新版です。
雇用環境の大きな変化
- 環境変化、AIやビッグデータ、IOTやロボット化による技術革新と社会変化
- 企業も事業の新陳代謝を進め、競争力維持するための人材戦略も変わりつつある
- ジョブ型雇用
- 年功序列制度で給与水準の高かくなったベテラン社員を対象とした財務体質改善型のリストラから、年齢に関係なく今後の事業に対応する能力の有無を基準としたビジネス戦略型のリストラ
- 雇用環境の変化に加えて、働き方改革、ワークライフバランス、さらにコロナウイルスによるテレワークなど、仕事の形態が大きく変わった。
2倍働いて3倍稼ぐ外資系企業のビジネスパーソンたち
- 日本が考える倍の時間働いてではなく、同じ時間で倍の成果を出す高い生産性
- そんなビジネスパーソンから学んだ仕事術を紹介しているのが本書
時代が変わっても変わらない「マネジメントの背骨」
1つ目
- 管理職の役割「チームの成果の最大化」
2つ目
- チームの成果の最大化を「生産性の高いやり方」で実行する
3つ目
- あなたと部下の「価値ある人材への成長」
管理職として磨くべき6つの力
1.迅速な意思決定力
2.スピード感を生む仕事力
3.生産性を高める仕事力
4.正しく権限委譲を機能させる力
5.自律型人材を育成する力
6.最強チームを構築する力
- 上記6つの力を高めていくための具体的なノウハウを36のルールとして紹介(内1/3を旧版入れ替えた)
第1章 迅速な意思決定のルール
どのような時代環境であっても、仕事の流れは基本的に「決めて実行する」ことの繰り返しです。
- 管理職がなすべき重要な仕事の一つは、迅速かつ的確に「決める」こと -昨今の正解がない、不透明な時代にはこの「決める」が重要
- 成果が出せないチームは、管理職が決めることに時間をかけている、もしくは、決めることができていない
決めることができない理由は、論理的要因と心理的要因の2つ
この2つの要因を克服しながら、迅速かつ質の高い意思決定を行うための方法を紹介
ルール1「いつまでに決めるか」を決める
「慎重な人」のままでは無能扱いされる
- 最終的な仕事の締め切りだけでなく、過程で発生する「決める」に対しても「いつまでに?」を意識する。
- これもあれも検討していて、決断を先送りにするのは、無能な人
- 決めることに慣れる訓練から行う
思ったタイミングの半分で設定する
- 決断のデッドラインのタイミングはできるだけ早く
- ただ、自分が思ったタイミングの半分くらいに短縮しておくとよい。
- 迅速に意思決定している姿を部下に見せ、「いつまでに決めるの?」と問いかけていき、迅速な意思決定力のあるチームへと成長していく
ルール2 迷った時は「目的」に立ち返る
情報が多いほど意思決定の制度が上がるという勘違い
- 目的を「何のためにそれをやっているのか?」を外さなければ、情報が多く必要はない
危機のときには「判断基準の単一化」を
- 事態が悪化しているときに必要なのは、「捨てる決断と判断基準の単一化」
- ブリヂストンの事例→事業全体が厳しい時、売上とシェアは捨て、事業規模を縮小させてでも、健全な事業体に作り変えることを優先
ルール3 「失敗したらこうしよう」と事前に決めておく
「失敗したらどうしよう」と思うから不安がなくならない
- 「失敗したらどうしよう」ではなく、「失敗したら修正しよう」「失敗したらやり直そう」「失敗したら原点に戻ろう」と決めておく
「やってみて修正する」という仕事のスタイル
- 100回検討するよりも1回やってみる方が、早く確実に物事は明らかになる
ルール4「ここまでやったのだから」は1ミリも続ける理由にはならない
いま、もう一度やるとしたら同じことをやるか?
ルール5 10分で結論を出せないときは誰かと話す
考えているつもりで、実は迷っているのだから
何かの結論を出そうとするとき、正解のある問題に対して取るべきアクションは「調べる」です。過去の事例を調べたり、同じ問題を解決したことのある人に聞いたりすることで正解が見つかるからです。
一方正解のない問題に対して取るべきアクションは「考える」です。
- 一人で10分以上考えて、結論が出ないときは1時間考えてもでない。
- それは考えていなく、迷っているから
- 人と話して「オートクライン」という脳の機能を活用する
- 相手が正解を言ってくれたわけでもなく、自分で「ああ、そういうことだよな」と納得して結論を出せてしまうこと
効果的にオートクラインを起こすには
- 言葉のキャッチボールをすること
- 相手の話が正しいかどうかで判断しないこと
- 説明しようとしないこと
「考えても結論が出なかったら誰かと話す」ーこのようにしてオートクラインを起こす時間をつくることが、迅速な意思決定に役立つ。