第6章 最強チームを構築するルール
最後に紹介するのがチームづくりです。ポイントをひと言で言うと、「チーム内のリーダーシップの総量の最大化」です。
「リーダーシップ」とは、「自ら声を上げ、それに対して周りが喜んで動くような『影響力』」のことです。(中略)リーダーシップは立場や仕事の内容にかかわらず、すべての人が発揮できるものです。
- 技術の進化をはじめとした加速度的な環境変化の時代では、共通認識とした方向性を踏まえた上で、メンバー一人ひとりが自律的に行動する現場力が問われる
- さらに各メンバーが単独に動くのではなく、お互いに影響し合ったり、周りを巻き込んで連携しながら仕事をすることで、より一層、チームの成果は高まる。
- 必要なのは一人ひとりのリーダーシップ
リーダーシップの総量がチームの力を決める
「リーダーシップに関して明確にしておきたいのは、日本に不足しているのは『リーダーシップ・キャパシティ』だということです。
これは『日本全体でのリーダーシップの総量』を意味します。(中略)
国も大企業も変革するために必要なのは、1人の卓越したカリスマリーダーではなく、 リーダーシップをとる人の総量が一定レベルを超えることなのです」
マッキンゼーで採用マネジャーの伊賀泰代氏の著書『採用基準ー地頭より論理的思考力より大切なもの』(ダイヤモンド社)
- 本章では、「事なかれ」を優先する問題を解決し、メンバーが自らリーダーシップを発揮するリーダーシップ・キャパシティの高いチームをつくるための方法を紹介
ルール31 チームの存在意義を自分の言葉で語る
- 人がリーダーシップを発揮したいときは、自分やチームの問題解決につながったり、仕事の成果を高めたりする
- 仕事そのものに十分な動機づけがなされていることが必要。いわゆる仕事へのモチベーション
外発的動機づけと内発的動機づけ
- 外発的動機づけは外から与えられる「昇給」や「昇進」といったもの
- 内発的動機づけは自分の心から沸き起こる仕事に「誇り」や「やりがい」
- チームマネジメントにおいては、外発的動機のみに頼るのではなく、内発的動機づけにも目を向ける
- 内発的動機づけの一つは、自分たちがやっている仕事の本質的な意味をあらためて問い直し、それをチームの「存在意義」として想いを込めて伝える
ルール32 「問いの共有」でリーダーシップのきっかけをつくる
すべてのリーダーシップが自発的に発揮されるわけではない
- リーダーシップの出発点は問題意識
問題意識のない人の方が多数という現実
- 実際の職場では、目の前の仕事をこなすのが精一杯で問題意識をもつ余裕がないのが現実
- リーダーシップを発揮できるきっかけを上司が提供することが必要。それが「問いの共有」
- 「問いの共有」とは、自分が何とかしたいと思っているチームの問題に対して、どうすればよいかを部下たちに問いかけることです。
- 「問いの共有」の反対は「正解の共有」
- 自分の正解を突きつけるのではなく、「この問題をどうすべきだろうか?」と問いかけ、一緒に解決していきたいと意思を伝える
ルール33 チームの「行動原理」を明らかにする
上司がどう反応するかという不安を取り除く
- チームがリーダーシップを発揮できない理由の一つは、上司の反応がわからないという不安。
- 上司はチームの「行動原則」を明らかにする
「このように行動してほしい」という上司の思い
- 行動原則とは、「仕事において、このように行動してほしい」と思いを言葉にする
「理解する」から「行動する」へ
- 行動原則は会議で話しただけでは浸透しない
行動原則を理解し実践するための4つの働きかけ
- ①背景としての理由を伝える
- ②個人のメリットを伝える
- ③自分でやってみせる
- ④部下の行動を承認する
ルール34 「個人的には反対なのだが」と部下の前では言わない
中間管理職である以上、ときには上司と意見が対立することもあります。最終的な上司の判断が自分の考えと異なった場合、部下にはどのように伝えればよいのでしょうか。
- 「これで行こう!」と戦闘モードで鼓舞する
結果を出すためのアクションに切り替える
- 最終的に上司の判断に従うと自分で決めたら、その条件のもとで最大の結果を出すのが自分の責任と考える
ルール35 ユルい「心理的安全性」はチームをダメにする
仕事の基準を高めて挑戦心をかき立てる
リーダーシップのための「心理的安全性」
「心理的安全性」とは、ひと言で言うと、「仕事の成果向上へ向けて安心して発言できる心理状態のこと
心理的安全性が醸成されるために必要なことは、メンバーの言動に対する上司やメンバーの肯定的な反応
注意点としては、「何もしなくても安全」「努力しなくても安全」というユルい状態と誤解されてしまうこと
心理的安全性の本質は、主体的かつ建設的な議論がなされ、質の高い良い仕事が出来る組織的な土壌
「ヌルい職場」ではなく「挑戦する職場」
- 急速な世の中の進化を踏まえて「現状維持は退化である」
- チームづくりは管理職1人でするものではなく、メンバーと力を合わせて行うもの
- 「挑戦する職場」としてチームを築いていきたいのであれば、メンバーにはっきりと宣言することが大切
- その上で「イエスの文化」を醸成し、仕事の基準を高く維持するためのメッセージを発する
- 目指すチーム像に向かって、一人ひとりのメンバーがリーダーシップを発揮しているーこのようなチームの姿が見えてくれば、リーダー自身がリーダーシップを発揮したことになる
ルール36 合い言葉は「誰もがリーダー、誰もがサポーター」
リーダーシップの総量が増えれば組織も人も強くなる
良きサポーターはリーダーシップを発揮している
どのような小さな行動でも、そこに「自ら声を上げ、それに対して周りが喜んで動くような影響力」があれば、それらはすべてリーダーシップです。
リーダーとサポーターは頻繁に入れ替わる
- リーダーシップを発揮できる人は良きリーダーの資質を持っている
部下が上司にとって、最良のサポーターとなり、上司も部下にとって最良のサポーターとなる。さらに、メンバー同士もお互いがお互いにとってのリーダーでありサポーターである。「誰もがリーダー、誰もがサポーター」このようなチームがリーダーシップ・キャパシティを最大化させる最強のチームです。
リーダーシップとマネジメントの違い
- リーダーシップとは、「自ら声を上げ、それに対して周りが喜んで動くような影響力」つまり、リーダーシップは誰もが発揮しうる「能力」
マネジメントとは、課長や部長という組織の管理職が担っている「役割」、「目指すゴールへ向けてチームの成果を最大化させる役割」であり、マネジメントという役割を担う人がマネジャー(管理職)です
マネジメントは単なる仕事や部下の管理を意味していない、組織のスピート感や生産性を高め、より高いレベルでゴールに到達できる推進機能
- 自己完結出来るものでなく、部下の協力や関係部署との連携が必要
- そこで役に立つのがリーダーシップという「影響力」