第2章 マーケティングの「目標」論
- 本書なりのマーケティングの定義について、「なぜそうだと言えるのか?」の部分を説明
【定義】マーケティングとは「一定費用の元で、適切な買い手郡にとって よりコストパフォーマンス(CP)の高い商品を生み出し、 その存在を認知させ、その内容を理解させ、これを送り届けることによって、 粗利を最大化する総合活動」である
06 マーケティングは「粗利の最大化」を目指すー企業の最終目標から考える
- 粗利を最大化する総合活動であるについて絞って考える
企業の目指す「利益」の構成要素は?
- マーケティングの定義には「目標」が必要
- マーケティングが企業活動の一部である限り、企業の目標の一部である
- 企業の最終目標は、もちろん経常利益
- 経常利益 = 営業利益 + 営業外利益
- 営業利益とは、企業が本業によってつくり出した利益
- 営業外利益とは、受取利息、配当など
- 営業利益 = 売上 - 直接原価[変動費+固定費]-販管費[販売費+一般管理費]
- 営業利益 = 売上総利益 - 販管費[販売費+一般管理費]
会社の数字には「変えやすい部分」と「変えづらい部分」がある
- 経常利益 = 売上 - 直接原価[変動費+固定費]-販管費[販売費+一般管理費] + 営業外利益… 式A
- 売上 = 単価[単品あたりの販売価格] × 販売数量 … 式B
- 変動費 = 単品あたりの変動費 × 販売数量 … 式C
- 式Aに式B・Cの代入し、「×販売数量」でくくる
- 経常利益 = {(単価 - 単品あたりの変動直接原価) × 販売数量 - (固定直接原価 + 販売費 + 一般管理費)} + 営業外利益…式D
- 粗利 = (単価 - 単品あたりの変動直接原価) × 販売数量…式E
マーケティングの最終目標 = 粗利の最大化ー経常利益アップの3パターン
経常利益 = { 粗利 - (固定直接原価 + 販売費 + 一般管理費)} + 営業外利益
①「粗利」を増やす
②「固定直接原価 + 販売費 + 一般管理費」を減らす
③「営業外利益」を増やす
07「使っていいお金」を決めるのはだれか?
- 「一定の費用の下で」について、もう少し掘り下げる
「マーケティング費用」とはなんだろうか?
-結論から「一定の費用」 = 「固定直接原価」+「販売費」
マーケターの仕事で「ない」もの
用意された一定の費用の範囲内で、その最善の使い方を考え、粗利を最大化することを目指すーこれがマーケターの仕事
- 「マーケティング費用の総額」を決定するのは、1つ上のレイヤー(層)の活動
08 なにが「買おう」と思わせるのか?ーコストパフォーマンス①
- ここまでのまとめ、マーケティングとは「一定費用の下で、粗利を最大化する総合活動」
- 「どうやって」の中身が定義の残り部分、コストパフォーマンス(※以下CP)
購買の意思決定は「CP」が軸となる
- 人がなにかを「買おう!」と判断するとき、そこにはどういう「軸」が存在しているか?
- 購買を決めるときの最も普遍的な判断軸がCPであると考えている
「費用」と「コスト」を区別する理由
CP = パフォーマンス ÷ コスト
- コスト = 買い手が商品のパフォーマンスを受け取るまでに負担せねばならないコスト
- 本書では、売り手側が負担するものを「費用」、買い手側が負担するものを「コスト」と区別して呼んでいる
- 「買い手」が負担するコスト、代表的なのが商品の「代金」
代金だけが「コスト」ではないー到達コスト
- 「到達コスト」・・商品の効能を享受するためにかかるコスト
- 「労働コスト」・・効能を享受するまでにかかる労力
- 「付随コスト」・・それに付随するお金(電車賃や総量)
労働コスト = 時給 × 商品の効能を享受するまでにかかる時間
コストはすべて「カネ」に換算できる
- 商品の効能を享受するまでにかかる時間が同じだとしても、その時間を費やすのが「だれ」なのかによって、時給がかわるため労働コストは変化する
商品のコスト = 価格コスト + 到達コスト
[ポイント①]買い手が負担するのは「価格コスト」だけではない
[ポイント②]到達コスト = 労働コスト + 付随コスト
[ポイント③]いずれも「金額」に換算できる
09 商品の価値は「属性」から生まれるーコストパフォーマンス②
- パフォーマンス・・その商品が持つ「属性」によって生み出される「効能の価値」の総量、買い手がその価値に対して支払ってもいい「金額」
買い手が見出す「価値」はさまざま
- 例えば、自動車なら「最高速度」「燃費」「快適さ」「ボディカラー」など
- マーケターは、買い手が求めている属性をうまく分解したり、翻訳をする
- 商品が同じでも買い手が異なればその商品のパフォーマンスも違ってくる
パフォーマンスを決めるのは「買い手」
- 買い手が商品に求める属性はさまざまな種類がある
- それぞれの項目の点数を足し上げて、その商品の価値を見極めて「払ってもいい金額」を決めている
「機能性パフォーマンス」と「情緒性パフォーマンス」
より細かく分解するならば、商品パフォーマンスは、大きく3つの要素によって決定されています。
①機能性パフォーマンス
②情緒性パフォーマンス
③効能を享受するまでにかかる時間の短さ
- 機能性パフォーマンスは商品が持つ物理的な属性によって生み出される価値
- 例えば、キリは木材などに穴をあける、電動ドリルも同じ機能性パフォーマンスを持っている。電動ドリルのほうがより高度なパフォーマンスを持っていると言える
- 機能性パフォーマンスを生み出す属性は定量化(数字で表現すること)が可能
- 情緒性パフォーマンスは商品のブランドやデザインといった心理的な属性が生み出す価値のこと
- ブランドバッグなど所有していることで「誇らしい気持ちになれる」「おしゃれな人に見える」などの機能だけではない
「ほしいときが買いどき」ー商品のパフォーマンスを決める「第3の要素」
- 商品の価値は上記2つdだけでは決まらない。
- 大きく影響してくるのが時間
- 機能性パフォーマンスと情緒性パフォーマンスとコストが同じ商品Aと商品Bがあったときに、商品Aが明日手に入る、商品Bが3ヶ月後の入荷を待たなければ行けない場合、商品Aを選ぶ
- 「いまほしい」商品だから「3ヶ月後にも同じくらいほしい」保証はない
商品のパフォーマンス = (機能性パフォーマンス + 情緒性パフォーマンス) × 効能を享受するまでにかかる時間の短さ
10 購買意思決定につながるCPの高め方
「購入検討の俎上」に載るための3つの条件
①「手に入れてもいい」のライン
②「買える」のライン
③「買ってもいい」のライン
コストを下げるーCPを高める方法①
- CP = パフォーマンス ÷ コスト
CPを高める2通りの方法
①コストを小さくする
②パフォーマンスを大きくする分母であるコストを小さくする
- 「価格コストをさげる」か「商品効能を享受するまでにかかるコストを減らす(=到達コストを下げる)」かのどちらか
パフォーマンスを上げるーCPを高める方法②
- 分子であるパフォーマンスを大きくしてCPを高める方法
①機能性パフォーマンスを高める
②情緒性パフォーマンスを高める
③効能を享受するまでにかかる時間を短くする