Part2 幻想を手放す
第14章 暗闇のなかで一歩を踏み出す
『時間を支配するものが、人生を支配する』。タイムマネジメントの第一人者ブライアン・トレーシーの著書
- この時間を支配しようとする態度が、時間に苦しめられる原因
限られた時間を思い通りにコントロールできず、正確に予測できない僕たちは、この先も未来への不安を抱えつづけるだろう
終わらない準備期間
僕たちはけっして時間を手に入れることができない。なぜなら、僕たち自身が時間だから。
つらい現実を受け入れる、そうすれば「ここにいることが出来る」
人生の本番を生きられる。限られた時間を、本当に大事なことをして過ごせる。今この瞬間に集中できる。
痛みが必然であることを受け入れれば、自由がやってくる。
人生を生きはじめるための5つの質問
- 重要なのは、「問いを生きる」こと
質問1 生活や仕事のなかで、ちょっとした不快に耐えるのが嫌で楽なほうに逃げている部分はないか?
自分にとって重要なものごとに取り組むときには、不安がつきものだ。
質問2 達成不可能なほど高い基準で自分の生産性やパフォーマンスを判断していないか?
時間を自由自在に出来るはずと幻想をもち、時間の使い方について達成不可能な目標を自分に課してしまいがちだ。
誰も達成できないような基準を自分に課すのは暴力的な行為だ。
質問3 ありのままの自分ではなく、「あるべき自分」に縛られているのは、どんな部分だろうか?
現在の生活を「いつかそうなるべき自分」への途中経過と捉える態度、つまり今が「人生の本番」であるという気まずい真実から目をそらし、準備段階のつもりでいる。
心の安らぎと解放は、承認を得ることからではなく、「たとえ承認を得ても安心など手に入らない」という現実に屈することから得られる。
自分が楽しいと思えることが、最善の時間の使い方かもしれないのだから
質問4 まだ自信がないからと、尻込みしている分野は何か?
人生をリハーサルのように過ごすのは簡単。
今はまだスキルを学び、経験を積む段階だ。もっと上達したら、そのときは主導権を握ろう。そう思っていると、大事な時間はどんどん残り少なくなっていく。
質問5 もしも行動の結果を気にしなくて良かったら、どんなふうに日々を過ごしたいか?
時間をうまく使ったかどうか、つねに毛化の良し悪しで判断される。そのため、短期的に成果の出る活動に時間を使いたいと思うのも無理はない。
もしも「結果を知りようがない」という事実を受け入れたなら、今日できる重要なことは、いったい何だろう。遠い未来の誰かのために、世界を少しでも心地よい場所にするために、自分は何ができるだろう?
「それしかできない」ことをする
1933年12月15日、カール・グスタフ・ユングが文通相手に「正しい生き方とは何か」という問いに答える返事を書いた。
「どう生きるべきかという質問には、答えがありません。人はただ、自分にできるように生きるだけです。唯一の正しい生き方などありません。」
個人の人生とは「みずから切り拓いていく道であり、誰もが通ったことのない道」である。
「次にすべきこと」を実行するのが、いつだって自分にできる唯一のことだからだ
バックミラーのなかで徐々に形づくられていく人生は、たしかに「自分の時間をうまく使った」といえるものになっているはずだ