第6章 ケーススタディで考えるうまくいかない1on1の解決法
この章では以下のような悩みをケーススタディ形式で色々と書かれています。
気になるトピックがあれば、ぜひ本書を手に取ってみてください。
なかなか相手の本音を引き出せない
話が深まらずにあっさり終わってしまう
本当の課題が何かわからず、少しズレたアドバイスをしてしまう
「こうだよね」「こうすべき」とつい決めつけて言ってしまう
最後にうまく話をまとめるのが苦手
第7章 女性リーダー・管理職育成のための1on1の課題
女性キャリアの現状
- キャリア1on1は性別・年齢に問わず働く人にとって有効
- 特に女性にリーダー育成の観点では不可欠
- 本章では、「なぜ女性に有効か」と「どういう点に気をつけるべき」かを解説
女性活躍とは、
1.(女性本人が望むのであれば)働きたい女性が組織において、より安定的・長期的に働き続けられる状態
2.(女性本人が望むのであれば)成果を出して社会的上昇を果たしたいと思う女性が、組織において高いパフォーマンスを発揮し、職位を上昇させられる状態
出典:『女性の視点で見直す人材育成』(2018年/中原 淳、トーマスイノベーション/ダイヤモンド社)
「女性だからと決めつけない」かつ「女性ならではの組織の課題を知る」
- 課題を感じている人と感じていない人がいるという前提のもと、大事なのは「一人ひとりがどうしていきたいか」という点
- それぞれの課題やキャリアにフォカスするのが1on1
とはいえ、日本の社会や組織の構造的な問題はある。
日本の組織における5つの課題について次の章で紹介。
【課題1】オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)
- 男性中心の非公式なグループや独特の文化や人間関係を指す言葉、「閉鎖的人脈」
- 「土日のゴルフや飲み会での話が決定事項になる」や組織横断でさまざまな先輩たちと、キャリアの話が気軽にできたり、メンター的な人脈の紹介が行われることもある
- 問題点は、OBNの中にマイノリティが入りづらかったり、あるいは、権限のある男性が自分と似ている属性の人にだけ、情報が優先的に提供してしまうなど
- 多様な人たちが活躍する組織にしていくためには、「大切な話は必ず公式な場でする」を徹底する。
【課題2】的外れな配慮
たとえば、「女性は子供が3歳まで、育児に専念するもの」と思い込んで、職場復帰後に簡単な仕事で住む部署にするなど、少し的はずれな配慮を一方的に行うこと
上司がまず行うことは、「どんな働き方をしたいのか?」と問いかけることが基本。
- その上で、相手のキャリアの希望に対して、何か課題があれば助言をしたり、どのようにしたら解決のサポートができるのかと伴走を占めることが鍵になる
【課題3】ジェンダー・バイアス
たとえば、次のようなジェンダー・バイアスです。
- 女性は感情的
- 大きな商談や交渉は男性のほうが向いている
- 共働きで子供の具合が悪くなったときは母親が対応をするべき
- 男性は一家の大黒柱で、私生活より経済活動を優先すべき
- 結婚後の家事や育児を担うのは女性
- 保育園に迎えに行くのは母親
- 1on1で何かを発言するとき、「これって無意識の偏見ではない?」と常に自分に問いかける
【課題4】 リーダーシップのジレンマ
- 日本の場合、無意識で女性に求めるのは、たとえば「優しい」「気が利く」「控えめ」「母親のように献身的」といったフェミニンなイメージが強い傾向
- リーダーに求めるのは「強い」「決断力がある」「統率力がある」といったイメージが強く、マッチョなリーダー像を思い描く
- 女性がリーダーを担うことになったとき、上記イメージの板挟みになり、葛藤するケースが多くある
- 上記のイメージに囚われることなく、その人の強みを生かした、その人らしいリーダーシップのスタイルを探していけるよう1on1、そして助言をしていく
【課題5】詐欺師症候群
仕事やプライベートを問わず、大きな成功を収めたり、スポットライトを浴びたりすると、傍から見るとポジティブな出来事にもかかわらず、、本人は「これは私の実力ではなく、たまたま運が良かっただけ」などと急に自信を失ったり、「この結果は私の実力ではないのに、周りを欺いている気がする」などと抑うつ傾向に陥ってしまうのが特徴で、女性がなりやすい傾向があるそうです。
- 1on1の時、注意する点は2つ
- このような症候群があることを伝え、知ることで不安感を和らぐように話す
- 不安や恐怖といった感情を、否定せず、そのまま受け止め傾聴をする
第8章 女性との1on1をより効果的に行うために<応用編>
中長期的な目線で仕事の目的・意義を共有しよう
- 女性=ライフイベントがあるという思い込みを捨てる
- 女性特有の話が出たとしても、焦らず傾聴をする
- その上で、1on1は長期的な目線で、人生や仕事の目的や意義を一緒に共有していくことが重要
フィードバックはマメにタイムリーにきちんと言葉で伝えよう
- 改善点(のびしろ)や強み・長所についても、「マメにタイムリーにきちんと言葉で伝える」
「言葉で背中を押してあげることで」一歩踏み出すことができる
- 2020年のマッキンゼーが発表したレポートで、自分の強みや成長の機会をはっきりと自覚できる言動に出会ったことがきっかけで、管理職になりたいと回答
- 言葉による「ひと押し」の重要性