第2章 ちゃんと聴くを分解する
「ちゃんと聴く」と「うまく聴く」ーちゃんと聴くあり方
共感できない相手はいない
自分とは異なる意見や考え方を持つ相手の話しを、我慢することなく、共感的に聴くことはできるのだろうか。
この疑問に対するヒントが肯定的意図という信念にある。
信念とは、世界に対する思い込み
- 「これはこういうものである、という思い込み」が信念
- この信念は過去の経験から作られる。
- 人の話を聴くときも、信念は無意識で働く。
- 肯定的意図は聴く際に有効な信念
肯定的意図とは
肯定的意図とは、「脳と心の取扱説明書」とも言われるNLPで大切にされている原則だ。
自分とは違った意見や考え方、社会のルールや規範とは異なった言動であったとしても、その背景には必ず肯定的意図がある
しかし、その「意図」と「振る舞い」は切り離して考える。
罪を犯そうとする人の「行為」を止められたとしても、その背後にある「意図」が満たさなければ。また別の「行為」によって、その「意図」を満たそうとする
信念は相手に伝わる
肯定的意図という信念を持つということは、つまり異なる「意見」をぶつけ合う前に、お互いの「意図」を交換し合おうという意思を持つことだ。これは対話で大切になるあり方そのものだろう。
- 現実の場面では、時間がなく意図を聴いている余裕がないときもある
- その時でも「やり方」ではできなくても「あり方」で聴いているのが大事
自分の肯定的意図を聴くことが、多様性を認め合うことにつながる
- 「ダイエットをしたい自分」と「お菓子を食べたい自分、「部下を信じて任せたい自分」と「細かく部下の進捗を管理したい自分」こういった自分の中に複数の自分のどちらかを悪者にしない、どちらも自分を幸せにしたい肯定的意図を持つ自分として扱う
「個人から分人へ 本当の自分はひとつじゃない」(講談社現代新書)という本を書かれている平野啓一郎さんのウェブサイトにこのような言葉がある。
「中心に一つだけ『本当の自分』を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを『本当の自分』を認めるのではなく、それら複数の人格すべてを『本当の自分』だと捉えます。この考え方を『分人主義』と呼びます。
- 自分の話を聴けるようになると、他人の話を聴けるようになる
- 自分の中にある「多面性を認め、活かし合う」ことからスタートする
信念が適していないとどうなるか
根底に肯定的意図という信念がなければ、話しては曖昧な話をだんだんと口に出しづらくなる。「この人には何でも話して大丈夫だ」という気持ちが薄くなっていく。
「ちゃんと聴く」と「うまく聴く」ーうまく聴くやり方
非言語スキルとは
- 視覚情報 + 聴覚情報を扱う非言語スキル
- 視覚情報:見た目、姿勢、表情、しぐさなど
- 聴覚情報:声の大きさ・高さ・明るさ・話す速さで構成される口調や、声質など
- 非言語スキルは重要な項目
相手と一緒に体験する
非言語スキルの実践は、難しくない。しかし恥ずかしい
- 非言語スキルを考えるときの注意点
- ペーシングやミラーリングを意図的にされる、わざと非言語の状態を真似されると非常に気持ち悪いと感じる
- 相手の話をともに体験しようとするのが鍵
相手を外から俯瞰的に、客観的に捉える視点ではなく、相手の主観的な視点で、相手が見ている景色を一緒にみようとする。相手が感じていることを一緒に感じようとする。つまり「相手に」関心を持つのではなく、「相手の関心事」に自分も関心を持つ。
言語スキルとは
- 言語スキルは「解像度を上げる力」
- 同じ言葉を使う
- 話を聴く上で脳内にあると便利な「聴くMAP」
現在の目標を決める際に、過去や未来に時間軸を飛ばして、話を聴いていき、本人の価値観や望む未来、避けたい未来をイメージしていく
MAPに慣れてきたら、具体度と抽象度の軸を足して、立体的に聴いていく
4つの質問だけで、話は十分に聴ける
- ①展開
- 他にもある?といった聴くMAPの平面を移動するタイプの質問
- ②具体化
- 言葉や、場面をより具体的にしていく質問
- ③抽象化
- 「要するにどういうこと」「つまり?」と具体的なエピソードを聴いた上で、「何がそうさせたのでしょう?」話を抽象的にまとめるイメージ
- ④俯瞰
- 主観的な世界に入り込んでいたところから抜け出して、外から眺めるときに使う質問。「ここまで、話してみてどう思います?」「今話したことを、外から見てみるとどう見える?」
最も使い勝手が良く、最も効果的な質問「具体化」
- 具体化は「言葉の具体化」と、「場面の具体化」
- 具体化に便利な質問「っていうと?」という投げかけ
「なぜ」ではなく「なに」
- 質問の中ですぐに使える非常に効果的な言い回し
- 「なぜ」ではなく「なに」
- 「なぜ」だと「あなた」が主語となっていて少し責められている印象がある。一方で、「何がそう思わせるの?」という言葉の主語は「何が」になり、一緒にそれを探そうという質問になっている。
コンディションを考える
コンディションとは、持っている技術の本番での発揮力だ。
- コンディションは「身体」「感情」「感覚」の3つに分かれる
- 健康や、相手との関係性、話をする環境などを整え、良い環境で迎える
【読書メモ】まず、ちゃんと聴く。 コミュニケーションの質が変わる「聴く」と「伝える」の黄金比 櫻井 将 (著) Part 1 - アウトプットを頑張る