はじめに
「儲かっている企業」はマーケティングを企業のど真ん中においています。
- アップル、HP、デル、ダッソー、ソニー、パナソニックなど
- マーケティングは、戦略であり、企業文化であり、科学
- 企業の中心に据えて「ナレッジ」と「人材」に継続して投資するべきもの
- 日本の企業が元気になる唯一の道が、全体最適の「マーケティング・オーケストレーション」
- 本書は「マーケティング・オーケストレーション」について初めて書かれた本
- 今求められているのはマーケティングとセールスの全体俯瞰、本書のコンセプトは"売れるサービスを開発し、営業生産性を劇的に引き上げたマーケティング・オーケストレーション"
- 組織や人、グローバルの新しい潮流、マーケティングの学び方などを例に上げて書いている
第2章 業績とマーケティングナレッジの関係
日本のB2B企業のマーケティングROIは危機的状況
- マーケティング費用投資回収率 ROMI(Return On Marketing Investment)
- 日本のB2B企業の多くのマーケティング活動は売上に貢献できていない
- 日本企業のマーケティング活動は調和していない
- これらはすべて「部分最適」
- マーケティング活動を全体最適化し、それぞれのKPIは受注と相関のある数値になり、セールス部門とも調和、研究開発や設計などのものづくり部門とも調和した「アラインメント(連携)」をしなければ、マーケティング活動は受注に貢献することはない
マーケティング組織とCMOの役割は市場の「センサー機能」
組織横断のマーケティング部門を持ち、そのトップとしてCMOを置くことが重要な理由の一つは「センサー機能」です。マーケティング部門はその名の通り、マーケットと向き合う専門家集団です。市場を理解し、変化を読み、新しく出現した脅威や競合製品を中止します。そしてその情報は、レポートとしてCMOに上がります。CMOは必要に応じてボードメンバーやCEOにお報告します。
第6章 営業利益を15%伸ばした営業に寄り添うアラインメント
マーケティングとセールスのアラインメントはもはや常識
- アラインメントの第一歩は、同じ言葉を使う
- プロセスの定義、言葉の定義を揃えて、営業とマーケティングが同じデータを見ることでアラインメントになる
- その第一歩が日本の企業ができていない
- マーケティングと営業は前工程と後工程の関係
- マーケティングの評価者は営業
- 欧米ではマーケティングを管轄しているCMOがパイプラインの案件進捗の責任を持たせるという動きも高まっている
MQLだけを共有していれば良かったという時代は終わったのです。
(P158)
第7章 導入したMAがメール配信にしか使われない理由
日本のMAは能力の5%しか使われていない
- MA導入企業の95%以上はメール配信までしか使っていない
- MAツールの導入成功の最低条件は、案件を営業部門や販売代理店に安定供給
- 目指すべき姿は、「昨年この事業部の売上は1300億円でしたが、その中の127億円はマーケティング由来でした」と実数で成果を説明できること
3Sを理解する前のMA導入は必ず失敗する
- MAツールの選定は、何に使うのか、誰が使うのかを明確にしないとできない
- 3Sとは「戦略:Strategy」「組織:Structure」「システム:Systems」
戦略:Strategy
- 戦略の理解や徹底にはリソースを割くべき
- 日本の意思決定は課長や課長補佐という役割の人が起案する稟議をベースに行われるボトムアップ型
- そのため課長補佐までは経営戦略やマーケティング戦略の理解と徹底はマスト
- 戦略立案のためには、まず目的の定義
- 目的を達成するために戦略、戦略を実現するために戦術
- 目的から戦術までシンプルに連鎖しなければならない
- 日本の企業で行われているマーケティング活動の大半は、「戦略の存在しない戦術」
組織:Structure
- 事業部制の父、チャンドラーは、事業戦略が先であり、その戦略を実現するために十分な質と量を備えた組織が必要である
- アンゾフは「戦略は組織に従う」、チャンドラーの説は正しいが、現実にはすでにある組織をベースに戦略を構築することが多く、その意味で組織の質・量の進化なくしては新しい戦略も実伝できない
- 「戦略を実現するために最も重要な戦術が組織づくり」
システム:Systems
- 戦略と組織を定義し、用意されていればそのまま「要件定義」