チームのポテンシャルを最大限に発揮するための誰にでも習得可能な技術です。
本書の中で語られている現代で最も必要なスキルの一つがこの「問いかけ」であり、 その「問いかけ」の手法が説明されている。
本書の構成
- はじめに
- チームの問題はなぜ起きるのか
- 問いかけのメカニズムとルール
- 問いかけの作法①見立てる
- 問いかけの作法②組み立てる
- 問いかけの作法③投げかける
はじめに
孤軍奮闘の悪循環
- 「誰も意見を述べないお通夜ミーティング」⇒このような場に「周囲に頼るよりも、自分でやったほうが早い」という結論に
- そうした現状を魅了的な場に変えるために、「問いかけ」の質を変える。
チームの好循環
- 魅力と才能を引き出す「問いかけ」の技術
- 「問いかけ」の工夫を加えるだけで話し合いの空気はガラリと変わる。
- 良い「問いかけ」からチームメンバーの「こだわり」を発揮でき、そのことに喜びを感じる。それがサイクル化し好循環を引き起こす
「問いかけ」の効用
- MTGや1on1などのコミュニケーションの場面以外にも、家族や友人、「他者」とのコミュニケーションの場面においても有効。
- これからの時代、仕事は「自力」ではなく、「他力」を引き出せなくてはうまく行かない。
- 一人では生み出せないパフォーマンスを生み出すことが、現代の最も必要なスキルの一つ
実践方法
- 本書を読みすすめる
- 実際のMTGで実践してみる
- 手応えを振り返る
- 試行錯誤を何度も繰り返すことが必要
チームの問題はなぜ起きるのか
チームの問題は
- 特定の「誰か」のせいではなく、チームを取り巻く時代環境の大きな過渡期によるもの
- 前時代に求められていたトップダウン方式の「ファクトリー型」の組織形態に、仕事のスタイルを適応させた結果起きている。
- ファクトリー型におけるチームの意義、「作業を効率的に分担する」
しかし現代は
- VUCA時代における現代では「ワークショップ型」に切り替えが必要
- 経営層の役割は、現場と対話しながら「理念」を探求する
- ミドルマネージャーのファシリテーションのもと、現場メンバーは自ら「問題」を発見し、自ら「解決策」を探索することが奨励されます
- 昨日までの成功パターンにとらわれずに、実験を繰り返し、常に新しい可能性を探索する姿勢がもとめられる。
- チームメンバーも多用な専門性やこだわりを持ったメンバーでチーム構成をする
フランスの人類学者・クロード・レヴィ=ストロースのブリコラージュの思考法を持つ。
4つの現代病
- 判断の自動化による、認識の固定化
- 部分的な分業による、関係性の固定化
- 逸脱の抑止による、衝動の枯渇
- 手段への没頭による、目的の形骸化
回避するためには
チームにおいて「こだわり」を見つけて、育てることと、「とらわれ」を歌抱き問い直すことの両方が、互いに循環しながら実現されている状態
問いかけのメカニズムとルール
問いかけとは何か
- 「相手に質問を投げかけ、反応を促進すること」あなたが質問することで、相手が何か反応を返してくれること
- 昨晩何を食べましたか? ⇒ 記憶を思い返す
- 1年前何を食べましたか? ⇒ 日記など記録をたどるもしくは、わからない
- この付近で評判の良い和食はありますか? ⇒ 知識を披露する
問いかけを変えると相手の反応も変わる
問いかけは未知数を照らす「ライト」である
意見を引き出す問いかけの4つの基本定石
① 相手の個性を引き出し、こだわりを尊重する
② 適度に制約をかけ、考えるきっかけを作る
③ 遊び心をくすぐり、答えたくなる仕掛けを施す
④ 凝り固まった発想をほぐし、意外な発見をうみだす
問いかけの進化を発揮する3つの作法
① 見立てる
② 組み立てる
③ 投げかける
①見立てる
見立ては機軸
- メンバーがどんな状況か仮設を立てる
- 常に、チームや相手を分析・観察をして状況を「見立てる」ことが大事
対象に解釈を加える
- 対象に対して、解釈のラベルを加えること
- ただし、膨大な情報量の壁にぶつかるため、情報を取捨選択するフィルターは必要
観察のガイドライン
① 何かにとらわれていないか? ② こだわりはどこにあるのか? ③ こだわりはずれていないか? ④ 何かを我慢していないか?
- 問いかけ初心者は目ではなく、「耳」をフル活用する。
見立ての着眼点
何かを評価する発言
未定義の頻出ワード
姿勢と相づち
観察だけでの限界
- 「こだわり」「とらわれ」のすべての把握とその先に「必要な変化」についての仮設建てるのは限界がある。
- 必要な変化を見つけるためには、この場の「目的」は、チームメンバーはどんな「光景」がみたいのかと「望ましい状況」と「現状」の差を察知しておく
必要な変化を見定める三角形モデル
- 見立ての精度を上げる三角形モデル「場の目的」「見たい光景」「現在の様子」
事前に「場の目的」を確認しておく
場の目的のパターン
1 情報共有
2 すり合わせ
3 アイデア出し
4 意思決定
5 フィードバック
- 場の目的と見たい光景を事前に想像し、予めノートやメモ用紙に記載しておき、ミーティング中意識しながらすすめる
②組み立てる
組み立てる前に意識する前提2つ
① チームにおける自分の立場や役職を考慮する
② 元々の自分のキャラクターや芸風に合わせる
- 触発タイプ
- 提案タイプ
- 共感タイプ
- 整理タイプ組み立てる手順
手順① 未知数を定める
手順② 方向性を調整する
手順③ 制約をかける - 慣れないうちはゆっくり組み立てる
質問の精度をあげる「フカボリ」「ユサブリ」
- モードを使い分ける
フカボリモード
-素人質問
- ルーツ発掘
- 真善美
ユサブリモード
- パラフレイズ
- 仮定法
- バイアス破壊
ミーティングのプログラムを組み立てる
ミーティングの基本的な流れ
1 イントロダクション
2 チェックイン
3 話題提供
4意見交換
5ディスカッション
6成果の確認
7まとめ
- 2つのモードを混ぜ合わせて使いこなす
- 谷型と山型のプロセスの使い分ける
③投げかける
ミーティングは開始5分が勝負!?
- ファシリテーターが何が難しいと感じているか?という問いの回答
- 初心者は本題に入った中盤から後半にかけて
- 熟練者はミーティングの開始前から冒頭にかけて
- 熟練者は始まりの一手に心血を注いでいる
メンバーの注意を引くためのアプローチ
予告:事前に伝えておく
共感:相手の心境を代弁する
扇動:前提を大げさに強調する
余白:あえて間を演出する
質問を引き立てる「文言」の工夫
- レトリックでの質問を引き立てる
光の量を足すタイプ
- 質問の前提や特性箇所の印象を強める技法
光の色を変えるタイプ
- 質問の意味を拡げ、イメージをふくらませる技法
光を和らげるタイプ
- 質問の言葉のニュアンスをぼやかす技法
問いかけのアフターフォロー
意見が出ない場合
- 前提を補足する
- 意義を補足する
- ハードルを下げる/手がかりを渡すリマインドする
- 組み立て直す
意見が出る場合
- ハードルを下げる/懐に飛び込む
- ポジティブなフィードバックをする
おわりに
アクションプラン
- 自分自身の問いかけに工夫を凝らす
- 他のメンバーに問いかけにフィードバックする
- チームメンバーに問いかけの作法を共有する
- チーム全員でミーティングのプログラムを検討する
- チームのオリジナルの質問パターンを発明する