第4章 アイヒマンのロジスティクス
事例として、ナチスドイツにおける親衛隊将校であった、アドルフ・アイヒマン
追放のロジスティクス
非常なスマートさ
アイヒマンの考えでは、法は「命令の意味や理由を探ること」自体を禁止すつものだった。だからこそ、彼は自分が命令された事柄について思考すること自体を避けていた。自ら思考しないこと、判断しないことが、彼が責任を全うすることであったからだ。
ロジスティクスと悪
- この非情さアイヒマン限定のものか、そうではないのか。次章で検討している。
第5章 良心の最適化
アーレントはアイヒマンによる暴力への加担を、「悪の陳腐さ」と表現している。
世間はアイヒマンをとてつもない悪意を秘めた人間であると予想する。しかし、アーレントによると、彼は自分のしていることを理解するだけの「想像力の欠如」を指摘する。
思考の根
共同体の変化によって、新しい価値体系へと何も思考せずに順応する、その自動性を批判
良心の自動最適化
「悪の陳腐さ」の背景にある良心の自動性を正確に表現するのが、「良心の自動最適化」
人間は良心をシステムへと最適化していると、行動の責任を自らではなくシステムにしてしまう。