第1部 頭のいい人が話す前に考えていること 「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則
その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
「怒っているとき」は、頭が悪くなる
サセックス大学巨樹の心理学者、スチュアート・サザーランドは著書「不合理誰もまぬがれない思考の罠100」の中でこう述べます。
怒りや恐怖など強い感情にとらわれると、愚かな行動に走りやすい
- 頭のいい人は感情的になったときに、すぐ反応しない。
- 感情をコントロールし、冷静になって考える。
キレないためのふたつの技術
①すぐに口を開かない
②相手がどう反応するか、いくつか案を考えて比較検討する。
愚かさを回避するための時間
- アンガーマネジメント
- 6秒待つ
その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
頭の良さってなんだ?
論理的思考、頭の回転の速さ、知識の量、分析力、教養、本質をとらえる力、抽象化能力、要領のよさ、語彙力、未来を予測する力・・・
どれも、頭のよさを構成する要素のひとつで間違いありません。
上記があれば、"頭のいい人"なのか?
頭の良さは、「他者」が決める
頭のよさに基準はない。されど頭が良くないと生き残れない。
- 学生時代は"偏差値"というわかりやすい指標
社会に出ると、偏差値という指標はなくなり、求められるのは、仕事を前に進め、成果を出す能力
周りから「頭がよい」と認識されている人が多ければ多いほど、その人は実際に頭のいい人。
無人の山で木が倒れたら音はするのか?
- 現代で最も重要な知的能力のひとつがコミュニケーション能力
- その本質に近い考えが「頭のよさは他者の認識が決める」
ドラッカーはコミュニケーション能力について、このように述べています。
仏教の禅僧、イスラム教のスーフィー教徒、タルムードのラビなどの神秘家の公案に、「無人の山中で木が倒れたとき、音はするか」との問いがある。今日われわれは、答えが「否」であることを知っている。〜中略〜
コミュニケーションを成立させるものは、受け手である。
- 頭の良さは他人が決めるという前提で「他者がどのように思うか」を意識することこそ、知的で慕われる人が持つマインドの根本。
米国で提唱された「人間が生きていく上で最も重要な頭の良さ」とは?
- 頭の良さはざっくり2種類に分けられる。IQとSQ
SQとは、EQ(感情の知能指数)の考えをさらに進化させた「社会的知性」。他者との関係において、高い知性を発揮する能力のことと定義されている。
本書では、頭の良さを社会的知性と学校的知性の2種類に分けている。
- 学校的知性とは、IQなや記憶力、学力などひとりで完結する能力
- 社会的知性とは、他者の思考を読み、他者の信頼を得て、他者を動かす能力
頭のいい人の思考の深め方
- 本などからの学びは学校的知性
- 他人との関わりの中で発揮するのが社会的知性
- 社会で活躍する人は、社会的知性を身につけてから、学校的知性で復讐するように、学ぶ。さらに、社会的知性と学校的知性を行ったり来たりして、より思考を深める。
他者とのコミュニケーションの中で知性を身につける
なぜ論理的思考が大事なのか?
立場も価値観も違う他人と考えを共有するために必要
その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイス出来るのか?
賢いふりをするな、賢くふるまえ
- "賢いふるまい"を身につけること
- 「頭のいいふり」をする訳では無い
賢いふりでは人の心を動かせない
- なんか言っているようで、何も言っていない発言をする人が賢いふりをする人の代表例
「信頼」が生まれる瞬間
- 優秀なだけでなく、相手が"この人、我々のためにちゃんと考えてくれてるな"という心情になったとき信頼が生まれる。
その4 頭のいい人は、論破しない
人と闘うな、課題と戦え。
- 勝ち負けにこだわらず、議論を進め仕事を進捗させる。
勝ち負けは気にしない
ちゃんと考えて話すというのは、"相手の言っていることから、その奥に潜む思いを想像して話す"
その5 「話し方」だけうまくなるな
型を覚えれば伝わるのか?
- なぜ伝わらないのか ⇒ 話し方を良くしよう ⇒ 伝えられるが心は動かない
型に当てはめるだけでは考えたことにならない
- 「型」は考えるきっかけ、自分の考えの欠点に気づき思考を深める。そして、相手に伝わらなければ、話し方ではなく考えが浅かったと考える。
その6 知識が「知性」に変わるとき
頭のいい人は"賢いふり"ではなく"知らないふり"をする
- 答えをすぐ伝えず、相手に聴くことを意識する
簡単にアドバイスをするな
- コンサルに入ってまず意識すること。アドバイス、意見を言わず、とにかく相手に話をしてもらう
知識は披露するのではなく、誰かのために使って初めて知性となる
本当に相手のためになることは何なのか?
知性があふれる瞬間
"これから話すことは本当に相手のためになるのか?"という視点を持つ。
自分を客観的に捉え、自分の知識をただ披露したくなる承認欲求を満たすことを考えていないかに気づく
その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる
人身掌握の達人・田中角栄が秘書に出した指示とは?
コミュニケーションにおいて、"話が上手なること"よりも大切なことがあります。それは"承認欲求をどうコントロールするかです。"
- 他者の承認欲求を満たすことができればコミュニケーション強者になれる
田中角栄は秘書から支持者にカネを配るとき、秘書にこう言ったそうです。
「いいかきみが候補者にカネをくれてやるなんて気持ちが露かけらでもあれば顔色に出る。そうすれば相手は百倍、千倍にも感じる。百万、二百万を届けたところで一銭の値打ちもなくなるんだ」略
服部龍二著 「田中角栄 昭和の光と闇より」
コミュニケーションの強者になるふたつの条件
強者の条件1 自信を持つこと - 自尊心を持てば、他者の承認が必要なくなる。 - 自分で自分を尊重し、受け入れる態度
強者の条件2 口(自己アピール)ではなく、結果で自分自信の有能さを示すこと
他者は褒めつつ、自分は「なんでもない人間です」という顔をするのが、コミュニケーション強者の態度であり、知的で慕われる人の態度です。
カリスマはどのように生まれるのか?
- 人が他者を承認したくなるのは"親切にされたとき"
結果を出した上で、他者に親切にできる人が、他者からの承認を得て、信頼される